約200の寺社を抱える小江戸川越には、七福神をお祀りしているお寺も存在します。
そんな7つのお寺を順に巡っていく「川越七福神めぐり」の行程は約6km(最短ルートの場合)。ゆっくり歩いても半日ほどで回りきれる範囲です。
目次
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「七福神めぐり」とは
「七福神めぐり」は、七福神(大黒天・恵比寿神・毘沙門天・寿老人・福禄寿・布袋尊・弁財天)が祀られているお寺をめぐり、縁起を呼ぶお参りです。
各お寺には番号が割り当てられていますが、順番通りに回る必要はありません。
好きなお寺からスタートしてください。
川越七福神めぐりはいつ行けば良い?
七福神めぐりはいつ行っても問題ありませんが、松の内(正月の15日まで)までか、毎月7日に行うのがベストです。
この期間は神様が家に滞在しているため、ご利益がアップするといわれています。
とはいえ、1月初旬は何かと慌ただしいもの。
全てのお寺を巡りきるのは難しいですよね。
川越では、毎月1日に七福神のご縁日が開かれているので、その日に行くのもアリでしょう。
川越七福神めぐりの所要時間
拝殿でお参りして回るだけであれば、2時間~3時間程度で終わります。
ただ、途中でご飯を食べたり観光もしたいという場合は、4時間~5時間ほどかかるかもしれません。
ちなみに私は、9時半に川越駅を出発→15時過ぎに川越駅着(ランチタイム・カフェタイム込みで約6時間)でした。
川越で七福神めぐり!楽しみ方は?
七福神めぐりに特定の楽しみ方は存在しません。
各お寺で御朱印をいただくも良し、歴史的な建築物に思いを馳せても良し。
境内の草花を愛でながら歩くのも良いでしょう。
あなたが楽しめればそれで良いのです。
ここでは、その楽しみ方の一例をご紹介します。
川越七福神めぐりの楽しみ方① 御朱印帳に御朱印をいただく
お寺めぐりをした記念として、御朱印帳に墨書と御朱印をいただきましょう。
ただし、七福神の縁日が行われる1月1日~1月7日・毎月1日は混雑しやすく、書き置きしかいただけない場合もあります。
墨書と御朱印を確実にゲットしたい方は、縁日の日を避けて参拝しましょう。
御朱印帳は妙善寺や喜多院、成田山、蔵造りの町、小江戸蔵里などで販売しています。
川越七福神めぐりでいただける墨書まとめ
七福神 | 寺院 | 墨書 |
毘沙門天 | 妙善寺 | 不動尊 |
寿老人 | 天然寺 | 大日如来 |
大黒天 | 喜多院 | 川越大師 |
恵比須天 | 成田山 | 不動明王 |
福禄寿 | 蓮馨寺 | 呑龍上人 |
布袋尊 | 見立寺 | 無量寿 |
弁財天 | 妙昌寺 | 南無妙法蓮華経 |
川越七福神めぐりの楽しみ方② 記念スタンプを集める
「御朱印集めはちょっと敷居が高い」という方には、各お寺に置かれている記念スタンプを集めるのがおすすめ。
小江戸川越七福神霊場会の公式サイトからダウンロードしたスタンプ用紙を持参し、参拝後に自分でスタンプを押しましょう。
もちろん無料です。
川越七福神めぐりの楽しみ方③ 毎年恒例!小江戸川越七福神 招福プレゼント
小江戸川越七福神霊場会で主催している、七福神めぐりイベントです。
イベント内容やプレゼント条件は、小江戸川越七福神霊場会 公式Facebookで発表されます。
川越七福神めぐりの楽しみ方④ 10月~11月に咲く「秋の七草」を楽しむ
七福神を祀る各お寺では、それぞれ異なる秋の七草を鑑賞できます。
「秋の七草」とは
以下の7種類の植物が「秋の七草」です。
- 萩
- 尾花(ススキ)
- 葛
- 撫子
- 女郎花(オミナエシ)
- 藤袴
- 桔梗
これらの植物が「七草」として選ばれた理由は、山上憶良が詠んだ歌に由来します。
「秋の野に咲きたる花を指折り かき数ふれば七種の花」
「萩の花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴朝がほの花」
歌に出てくる「朝がほ」には諸説ありますが、一般的には「桔梗」であると解釈されているようです。
川越 七福神めぐりマップ
今回は、川越駅東口からスタート→妙善寺→天然寺→喜多院→成田山→蓮馨寺→見立寺→妙昌寺→川越駅東口というルートでめぐりました。
マップで示しているルートは、最短ルートではありません。
川越は初めてという方でも迷子になりにくいルートを示しています。
スタンプラリーでめぐる 川越七福神めぐり
スタンプ用紙をプリントアウトして、いざスタートです。
川越七福神めぐり①毘沙門天 妙善寺
寛永元年(1624年)に建立された妙善寺は、天台宗に属するお寺です。
本尊は不動明王(建立当時は薬師如来)で、脇侍に阿弥陀如来像と観世音菩薩像が安置されています。
毘沙門天像は本堂正面の一番手前。
スタンプ
毘沙門天とご利益
毘沙門天は仏教の守護神で、多聞天(たもんてん)とも呼ばれています。
鎧・兜に身を包み、左手に持つ宝塔から宝物を授けて右手の鉾で邪を払うといわれており、物心共々の福を施す神様です。
ご利益
財宝・禍よけ・威光
妙善寺の見どころ 川越さつまいも地蔵尊
川越と言えば薩摩芋。
川越さつまいも地蔵尊は、「薩摩芋を食べて健康になろう」という想いから、平成7年9月に川越市内の薩摩芋関係者によって建てられたものです。
薩摩芋の日である10月13日には、「いも供養(いもの日まつり)」も催されます。
妙善寺の秋の七草 女郎花
女郎花イメージ
撮影:motoshi ohmori
女郎花(オミナエシ)の根は、利尿・解毒に効能があります。
「手にとれば袖さへ匂ふ女郎花 この白露に散らまく惜しも」山上憶良
(手に取れば袖まで鮮やかに染まってしまいそうな女郎花が、この白露で散ってしまうのは惜しいことです)
川越七福神めぐり② 寿老人 天然寺
天文23年(1554年)に開山された天然寺は、天台宗に属するお寺です。
本尊の木造大日如来坐像は、平安時代末期頃に造立(ぞうりつ)したものといわれており、川越市内に現存する最古の仏像のひとつとして、市の文化財に指定されています。
スタンプ
寿老人とご利益
福禄寿と同体異名であると伝えられている寿老人。
富財・子宝・諸病平癒とご利益は多岐にわたりますが、特に長寿の神として信仰されています。
ご利益
健康・安全
天然寺の見どころ① 錦鯉のいる池
境内の池では、優雅に泳ぐやくさんの錦鯉の姿を見ることができます。
天然寺の見どころ② 願掛観音
あらゆる願い事を叶えるといわれている願掛観音。
ただし、望みを実現するためには、まずは本人が「気持ちを強く持ち、努力すること」が大切であると説いています。
つまり、「自分で何も努力せずに、神頼みだけするのはダメ」ということですね。
天然寺の秋の七草 桔梗
桔梗イメージ
撮影:Takashi .M
桔梗の根には、利尿・去痰(きょたん)作用などを持つサポニンが多量に含まれています。
「桔梗の花 咲く時ぽんと言ひそうな」千代女
川越七福神めぐり③ 大黒天 喜多院
喜多院は天長7年(830年)に創建された天台宗の寺院です。山号は星野山。
本堂に慈恵大師と慈眼大師が祀られていることから、「川越大師」の名でも知られています。
敷地内にある建物のほとんどが重要文化財に指定されており、貴重な美術品・工芸品も豊富です。
また、1月3日の初大師の日にはだるま市が開かれ、境内が色とりどりのだるまと人で埋め尽くされます。
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【喜多院 だるま市】初大師の境内はカラフルなだるまでいっぱい
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スタンプ
大黒天とご利益
頭に頭巾を被り、左肩に大きな袋を、右手に打出小槌を持った姿でお馴染みの大黒天。
「黒くなるほどまめに働き大黒天を拝むことで、財宝糧食の大福利益が得られる」と伝えられています。
ご利益
食べ物・有徳有徳・財宝・戦闘
喜多院の見どころ
喜多院の見どころは、何と言っても江戸城紅葉山から移築された書院や客殿、庫裏でしょう。
徳川家光誕生の間や春日局化粧の間、職人尽絵、紅葉山庭園などを見学することができます。
また、境内で見られる五百羅漢の彫像もおすすめです。
喜多院のより詳しい情報はこちら
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五百羅漢だけじゃない!川越大師喜多院で見るべきポイントは?
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喜多院の秋の七草 萩
萩イメージ
撮影:Takashi .M
萩は7月~9月に、紅紫色の小さな花をたくさん咲かせます。
「しら露もこぼさぬ萩のうねり哉」芭蕉
(儚い白露がこぼれない程、萩がゆったりと揺らめいていることだ)
川越七福神めぐり④ 恵比寿天 成田山川越別院
正式名称は「川越別院成田山本行院」。
千葉県成田市にある大本山成田山新勝寺の別院にあたります。
真言宗密教に属しており、本尊は不動明王。
創建は嘉永6年(1853年)です。
福寿殿には恵比須天と一緒に大黒天も祀られています。
これは、恵比須天が悪縁を退け、大黒天が良縁を結ぶとされているためです。
スタンプ
恵比寿天とご利益
福の神の代表的存在である恵比寿天。
農村では「田の神」、街では「市神」として、人々から深い信仰が寄せられています。
ご利益
漁業・農業・商売繁盛・清廉
成田山川越別院の見どころ 開山堂
成田山川越別院の開祖、石川照温上人の御尊像が置かれている開山堂。
石川照温上を失明から救った不動明王の徳にあずかり、開山堂には「め」の絵馬が多く掛けられています。
成田山川越別院の秋の七草 撫子
子どもや女性に例えられることが多い撫子は、和歌などによく登場する可憐な花です。
6月~8月にかけて、撫子色(淡い紅色)の花を咲かせます。
花言葉は「貞節」。
「なでしこが花見る毎にをとめらが ゑまひのにほひ思ほゆるかも」万葉集巻十八 大伴家持
(撫子の花を見る度に、愛しい少女の笑顔の美しさが思われてなりません)
川越七福神めぐり⑤ 福禄寿神 蓮馨寺
蓮馨尼によって、天文18年(1549年)に開山・創建された蓮馨寺は、浄土宗のお寺です。
江戸時代には「関東十八檀林」のひとつに数えられ、幕府の庇護の下、学問所として多くの学僧を育成しました。
蓮馨寺についてはこちらの記事でより詳しく扱っています。
諸願成就 おびんずる様の蓮馨寺 境内には焼きそば・だんごの売店も
スタンプ
福禄寿神とご利益
寿老人と同じ神様であるともいわれている福禄寿神は、「福」「禄(=富貴)」「寿」の3つの徳をそなえているといわれています。
方位除災や商売繁昌、延寿福楽等の神様です。
ご利益
幸運長寿・健康・商売繁盛・人望・長寿
蓮馨寺の見どころ おびんづる様
おびんづる様の本名は「賓頭盧 頗羅堕(ビンドラ バラダージャ)」。
おびんづる様の頭を撫でた後に、自分の身体の病んでいる部分を撫でることで、症状が改善するという言い伝えがあります。
蓮馨寺の秋の七草 尾花
尾花イメージ
撮影:t-mizo
尾花とはススキのことです。
穂が獣の尻尾のような形をしているため、尾花と呼ばれるようになったそうです。
花言葉は勢力、活力。
「山は暮れて野は黄昏の薄かな」蕪村
(山は既に日が暮れてしまったが、すそ野の方はまだ黄昏でかすかに明るく、薄の穂がほの白く見えることだ)
川越七福神めぐり⑥ 布袋尊 見立寺
永禄元年(1558年)に開山された見立寺は、浄土宗に属する寺院です。
開山当初は「建立寺」という名前でした。
見立寺は文政10年(1828年)・天保11年(1840年)の大火事で2度消失しています。
現在の本堂は、明治14年(1881年)に再建されたものです。
スタンプ
布袋尊とご利益
布袋尊といえば、大きな太鼓腹ですよね。
大きな袋を背負って放浪し、福徳を施したといわれています。
ご利益
安穏・家庭隆誠
見立寺の見どころ 徳本上人名号碑
南無阿弥陀仏を唱えて日本全国を行脚した念仏行者、徳本上人が布教のため川越を訪れた際に建てられた記念碑です。
見立寺の秋の七草 葛
葛イメージ
撮影:TANAKA Juuyoh (田中十洋)
葛の根からは、葛粉が取れます。
風邪薬の葛根湯はお世話になっている方も多いのではないでしょうか。
「山の辺ににほひし葛の房花は 藤波よりもあはれなりけり」斉藤茂吉
↑は見立寺の看板に書かれている原文ママの歌ですが、正しくは
「山のべに匂へる葛の花房は 藤浪よりも哀れなりけり」
(山の辺に咲く美しい葛の花房は、風に吹かれて波の様に揺れる藤の花房よりも一層心打たれるものだ)
だと思われます。
川越七福神めぐり⑦ 弁財天 妙昌寺
永和元年(1375年)に開創された妙昌寺は、日蓮宗大本山池上本門寺の末寺です。
江戸時代初期までは幸町の辺りにあったそうですが、寛保元年(1741年)の川越城改修の際、現在の三光町に移転されました。
弁天堂は本道の左脇奥の道の先にあります。
スタンプ
弁財天とご利益
七福神の中で紅一点の弁財天は、弁舌、芸術、財福、延寿の神様です。
運を開き、福を招くといわれています。
ご利益
音楽・愛嬌・弁舌才智
妙昌寺の見どころ 境内の坂
妙昌寺は高台の上に建っています。
かつてはこの場所から富士山が見えたそうです。
妙昌寺の秋の七草 藤袴
藤袴イメージ
撮影:ume-y
藤色の袴のような花を咲かせる藤袴。
利尿や通経、黄疸に薬効がある植物です。
「宿りせし人のかたみか藤袴 わすられがたき香に匂ひつつ」紀貫之
(家に泊まっていた人の残した形見か、藤袴よ。忘れがたい香に匂い続けて)
愛しい人の残り香を藤袴の香りに託して詠まれた歌です。
藤袴の花を乾燥させると、桜餅のような香りを楽しめます。
そのため、当時の女性たちは、藤袴を香草として使っていたそうです。
妙昌寺から川越駅へ戻るには
帰りは妙昌寺の正門を出て右に曲がってください。
少し歩くと上の画像のような案内板があるので、ここで左折しましょう。