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島崎藤村 茶道の師、“不染”。中院に籠められた想い

喜多院のすぐ近く、静かに佇む「天台宗別格本山 中院」。実は文豪・島崎藤村ゆかりの地であり、狭山茶発祥の地でもあるんです。

島崎藤村とは

島崎 藤村(しまざき とうそん)。
1872年3月25日 - 1943年8月22日。

文筆活動開始当初はロマン主義詩人として「若菜集」などを出版していましたが、後に小説へと転回し、代表作「破戒」などの自然主義作品を執筆しました。

「木曾路はすべて山の中である」の書き出しで知られている、藤村晩年の大作「夜明け前」は、日本の近代文学を代表する小説の一つとして高く評価されています。
1953年には映画化もされており、第8回毎日映画コンクール撮影賞を受賞しました。

藤村と川越を繋げるもの

墓地から見た薬師堂
昭和3年(1928年)、藤村は56歳の時に加藤静子と再婚しました。
その後すぐ、「夜明け前」の執筆を開始します。

妻・静子は川越の出身でした。
藤村は静子の母・加藤みきと大変仲が良く、彼女は藤村の茶道の師でもありました。
そのため、藤村は川越によく足を運んでおり、「夜明け前」の第1部・第2部にも度々「川越」が登場します。

明治27年創業、松江町にある旅館「割烹旅館 佐久間」(閉業)には、生前の藤村が原稿執筆のため、度々宿泊していました。

割烹旅館 佐久間

佐久間は川越随一の高級料亭です。
藤村を始め、陸軍海軍の将官や政府高官、皇族宮様方も御宿泊されていたそうです。

建物内には国の登録有形文化財「奥の間」があり、昭和56年4月には第39期将棋名人戦の第一局 中原誠名人と桐山清澄八段の対極が行われました。

佐久間公式サイト
食べログ

藤村の作品が気になる方へ

藤村の「破戒」や「夜明け前」は既に著作権が消滅しているため、青空文庫で無料で読むことが出来ます。
読んでみたい方はどうぞ!

学生の方には「破戒」が面白いかと思います。
歴史小説好きの方には「夜明け前」がお勧めです。

本を購入して読みたい方はこちらからどうぞ。

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今は漫画版もあるんですね。

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藤村がどの様に川越と関わりを持っていたのか、より詳しく知りたい方にはこちら。

加藤みきが「川越の老母」「川越明仁堂の老母」「川越の隠居」として登場します。
・・・こうして列挙してみると、結構な物言いですね(笑)。

侘び寂びたる中院

中院の門
喜多院から徒歩5分ほどの場所にある中院。
天長7年(830年)、慈覚大師によって創建された天台宗の寺院です。
かつては「星野山無量寿寺 仏地院(せいやさんむりょうじゅじ ぶつちいん)」と称し、この中院を中心に、北院(=喜多院)と南院(廃寺)の三院構成となっていました。

境内には藤村の義母・加藤みきの墓や、茶道の師であった彼女に藤村が贈った茶室「不染亭」があります。
また、中院は狭山茶(河越茶)発祥の地でもあり、境内には「狭山茶発祥の地」の石碑が建てられています。

狭山茶と河越茶の関係についてはこちら。

春には樹齢100年を超える枝垂桜、秋にはとても素晴らしい紅葉が見られることでも有名です。

アクセス

境内の散策

対面に高校があるとは思えない佇まいです。
中院の門

門をくぐると完全に別世界。
入り口

さっそく藤村先生の記念碑を見つけました。
島崎藤村先生記念碑
奥に見える建物が茶室「不染亭」です。

この大きな松は大正天皇御手植えの松。
大正天皇御手植え松
きちんと整えられています。
すぐそばに記念碑が建っていました。
大正天皇御手植え松の碑

休憩所もあります。
テーブル
お花見の季節なら、ここでお弁当を広げるもの良いですね。

出世観音。ちょっと奥まった場所にあります。
出世観音

本殿。
本殿
一日中人で賑わっている喜多院と比較すると、とても静かな場所です。
かつて喜多院に天海僧正が来往する以前は、むしろ中院の方が勢力を持っていたそうですが、今は完全に逆転している印象があります。

でも、気持ちを落ち着けたい時や静かに散歩したい時は中院の方が向いていますね。

不染亭。
不染亭 裏
この時は入れませんでしたが、桜の季節に一週間だけは「SAKURA CAFE 川越中院」として開放されています。
不染亭 玄関
藤村愛用の長火鉢や藤村が書いた掛け軸なども見ることが出来るので、藤村ファンの方は必見です。

不染亭の正面の広い通路か
薬師堂へ
不染亭の脇の細い通路から薬師堂の方へ進めます。
薬師堂へ

どろ足地蔵。細い通路を抜けた先のすぐ正面にあります。
どろ足地蔵

どろ足地蔵とは

連日の日照り続きで、お百姓さんたちは田植えが出来ずに困り果てていました。
そこでお百姓さんは地蔵尊に祈念することにしました。
すると大雨が振り出したので、お百姓さんたちは田植えを終えることが出来ました。

しかし、ある1人のお百姓さんだけは腹痛のために田植えをすることが出来ませんでした。
仲間はそんな彼のことを心配しました。
ところが翌朝、仲間たちが彼の田んぼを見に行ったところ、田植えは既に終わっていたのです。

お百姓さんたちは不思議に思いつつ、地蔵尊の元へお参りに行きました。
すると、そこには腰から足にかけて一面泥にまみれたお地蔵様が立っていたのです。

以来、このお地蔵様は「泥足地蔵尊」「身代わり地蔵尊」と呼ばれ、深く信仰されました。

釈迦堂。
釈迦堂
この左手側に墓地が広がっています。
藤村の義母・加藤みきの墓もあり、墓石に書かれている戒名「蓮月不染之墓」は、藤村の直筆であると言われています。

「狭山茶発祥の地」の碑。
狭山茶発祥の地
円仁(えんにん、=慈覚大師)は京都の茶の文化を河越に伝え、中院の境内で栽培をしていました。
その後、河越藩領の狭山丘陵で茶の栽培が広まったそうです。
ほんの数十年前までは、境内に茶畑が残っていたと言われています。

このエリアのおすすめランチスポット

CUCINA とちの木

とちの木
イタリアンのお店です。
川越産の野菜などをふんだんに・・・本当にふんだんに使ったお料理を楽しめます。

まずメニューの量が豊富です。説明が無いと迷います。説明されても迷います。
メニュー
とりあえず、女性なら平日限定のレディースランチセットがお得です。
曜日毎に内容は異なりますが、1500円(デザート盛り付きは1650円)で、前菜~デザートまでのセットが食べられます。

今回は金曜日だったので、「レディース前菜の盛り合わせセット」でした。
パン、前菜3種盛り合わせ、スープのミネストローネ。
パン、前菜3種盛り合わせ、ミネストローネ
この前菜ならワインだろう!・・・ということで、白ワインを注文しました。
鶏肉のフリッターが凄く美味しかったです。
お隣のお婆ちゃん達は「前菜だけでお腹いっぱいだわぁ」と話していました。

ピザとパスタが選べますが、今回はパスタにしました。
川越農家の忍田さん、長島さん、萩原さんの野菜とベーコンのペペロンチーノ。
川越農家の忍田さん、長島さん、萩原さんの野菜とベーコンのペペロンチーノ
なかなか尋常でない量でした。

そしてデザートのプリン。
プリン
デザートが来る前に、かなり満腹になってしまいました。

店内は主婦層が多かったですが、ちらほらとサラリーマンの姿も見えました。

複数人で来店すると、ピザやパスタを人数分取り分けた状態で出してくれるみたいです。

店舗公式サイト
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富築

富築

埼玉県と美味しいもの・可愛いものが大好きなwebライター。川越在住。
蔵の町周辺をよくぶらついています。
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