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一般客も石原のささら獅子舞を体験!
いよいよ今回のメインイベントのスタートです。
獅子頭
司会者の「獅子頭を被ってみたい人、手を挙げてください」という呼びかけに、数人の女性が挙手。
獅子頭を渡された女性は、その重さにとてもびっくりしていました。
手にずっしりとのしかかる重量感。保存会の男性がしっかりと獅子頭を支えてはいたものの、女性はあまりの重さに少しだけよろめいていました。
首だけでは決して振れない獅子頭
司会者に感想を求められ、「(演舞中は)これを振るわけでしょ?首の負担が大変!」と興奮気味に語る女性。観客は女性の反応を見て笑いつつも、その素直な感想に興味津々でした。
また、女性が「腰を使ってやらないと(頭を振るなんて絶対にできない)」と話すと、客席からは「ほぉー…」という感嘆が。
保存会の方の解説によると、やはり獅子頭は首だけで振ることはできず、全身を使う必要があるそうです。
また、雄の獅子に付いている立派な角は、自分の強さを誇示するものだそうで、他の地方にはより長い角を持つ獅子もいるのだとか。
ちなみに、この獅子頭は310年前に寄贈されて以来、作り変えることなく当時のままの姿を保っているそうです。
太鼓
続いて太鼓の体験タイムに移ります。
獅子頭の時は女性ばかりが挙手していましたが、今回は男性が挑戦。叩き方の簡単なレクチャーはありましたが、とても上手に叩けていました。
ところが、ここで男性のある発言を発端にちょっとした物議が……。
「太鼓を叩き続けるのは大変だ。私には、端っこで木を持っている役(傘持ち)くらいしかできそうにない」
これにはささら獅子舞保存会の皆さんも黙っていません。「よーし、じゃぁ、実際に持ってみなさいよ!」という展開に。
男性の「えぇっ(笑)!?」という声と共に、会場がどっと笑いに包まれました。
花笠
言われるがまま傘を持たされる男性。開始数秒で腕がプルプルと震え始めました。
実は、この役はかなりの重労働なのです。傘を長時間持ち続けているのは、保存会の方たちでも大変なこと。
そのため、ささら獅子舞の演舞中は、数人で代わるがわる交代しながら傘を持っているそうです。
この後、女性たちも傘持ちに挑戦していましたが、やはりかなり辛かった様子。全員がすぐにギブアップしてしまいました。
昔は新参者が通る道だった花笠持ち
ちなみにこの重たい花笠、かつては「ささらっ子」が頭に被っていたそうです。
もともと獅子舞は旦那さん(商家の主人など)の道楽であり、石原町では旦那衆が舞を踊り、その”お嬢さん”がささらっ子を務めていました。
しかし、江戸後期頃になると、「大事なお嬢さんの頭にあんな重たいものをのせるなんて!」という考えが浸透。花笠が「頭に被るもの」から「手に持つもの」へと変わっていき、新参者の役割のひとつになったのだとか。
今でこそ、石原のささら獅子舞は25分構成になっていますが、昔は1時間ほど舞い続けていたといいます。
つまり、新参者は1時間にわたって重たい花笠を持ち続けていたということです。
想像するだけで腕がつりそうですね……。
花笠の装飾の意味
吉野桜のピンクが印象的な、石原のささら獅子舞の花笠。実は花笠には2種類あり、それぞれ頂上に太陽(日輪)と月(月輪)のオブジェがのっています。
厳密にその意味を語るととても長くなってしまうのですが、要するにこの2種類の花笠を掲げることで、「日輪と月輪の光のもと、桜が咲き誇る大草原で獅子たちが争っている様」を表現しているそうです。
ささら
誰にでもできそうに見えて、意外と難しいささら。きちんと演奏するためには、持ち方などにコツがあるそうです。
「実際にささらを手に持ってみましょう」ということで、いくつかのささらが客席に配られました。
見よう見真似でささらを鳴らしてみる観客たち。
「こうかな?」
「あれ、何か違うっぽくない?」
と、想定外の難易度に困惑する人も。
演舞前の着替えを紹介
普段はまず見られない、ささら獅子舞の演舞前の様子です。
男性が足に巻いているのは「ピンコロ」というもので、魔除けの役割があるのだとか。
山の神の衣装を着た8歳くらいの男の子。背中には唐獅子牡丹の刺繍が輝いています。
この衣装はとても重く、50年ほど前までは11歳~12歳の子が着ていたそうです。
ところが、司会者の「衣装、重いですか?」という質問に対し、男の子はケロッとした表情で「軽いです」と回答。会場が笑いに包まれました。
獅子頭の装着は、本人を含む3人がかりで行います。
獅子舞を被る前に太鼓を装備。
演舞中にズレることがないよう、獅子頭はがっちりと固定されます。口が開けなくなるくらい紐をきつく締めるため、翌日には顎が痛くなってしまうのだとか。
獅子の完成。大変そうな作業でしたが、さすがにとても手際が良く、10分ほどで装着が完了しました。
「獅子の水引の中に入ってみよう」のコーナー。
水引を被った獅子は、前方がまったく見えない状態になります。お客さんたちも実際に水引の中に入ってみて、その視界の悪さに驚いていました。
着替えの後はお神酒で体を清めます。これで準備万端、いよいよ石原のささら獅子舞のシメの演舞のスタートです。
演舞後の写真撮影
レクチャー公演終了後は写真撮影タイムに突入。
動きが激しく演舞中の撮影が難しい獅子の写真を撮ろうと、観客たちが一斉に集まります。
閉会後も会場はとても活気にあふれていました。
石原のささら獅子舞はどこで見られる?
石原のささら獅子舞は、4月の第3土・日に観音寺で行われます。2019年度は4月14日(日)に開催されました。
祭事の主な流れは以下の通り。
- 観音寺で一庭奉納する
※一庭(いちにわ)=12シーンからなる舞1回分のこと - 町内をまわりながら舞を披露
- 井上家の庭で一庭舞う
→ 井上家:獅子頭を奉納し、ささら獅子舞の再興に寄与した家 - 観音寺へ戻って半庭舞う
→ 「舞の半分は来年に残す」という意味が込められている - 長老が「千秋楽」をあげて終了
観音寺へのアクセス
- 一番街 蔵造りの町から徒歩7分
- 西武新宿線「本川越駅」から東武バス「若葉駅行」乗車 「高沢橋」下車 徒歩2分(トータル9分)
- JR・東武東上線「川越駅」から東武バス「若葉駅行」乗車 「高沢橋」下車 徒歩2分(トータル14分)