芸術の秋、読書の秋、食欲の秋、そして、川越イモの秋!
秋の川越と言えばやっぱりサツマイモ。毎年このシーズンになると、多くの観光農園でサツマイモ掘り体験を楽しむことができます。
川越のサツマイモは「川越イモ」と呼ばれ、江戸時代に「栗(九里)より(四里)うまい十三里」というキャッチフレーズでもうたわれていたように、とっても甘くておいしいんです。
そこで今回は、数あるサツマイモ農園の中でも特に歴史の古い「山田園」をご紹介します。
なんと山田園が創業したのは天保9年(1838年)! じつに180年以上の歴史を持つ、由緒あるサツマイモ農園なんです。
山田園のサツマイモは「焼いてヨシ!ふかしてヨシ!揚げてヨシ!」という食の三方ヨシ! 歴史に裏付けられた高い品質で知られているんです。
では、早速その魅力を紹介していきましょう!
ライター:からすけ
目次
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創業天保9年!川越の老舗芋ほり観光農園「山田園」
山田園があるのは、川越市の中台南1丁目という所。関越自動車道「川越IC」から約10分の場所にある、アクセスしやすい観光農園です。
こちらの大きな黄色い看板が目印。
ちなみにバスでアクセスする場合は、川越駅西口発のバスに乗って約15分の「今福中台」で下車してください。農園はバス停から目と鼻の先です。
駐車場は、二車線道路(中台通り)から畑の方へ曲がり、上の写真の細い道を進んでいった先に10台ほど用意されています。場内は広いので、車でのアクセスも快適です。
広がるのは一面のサツマイモ畑! これが全部サツマイモとは驚きですね!葉っぱも青々と茂っているのは元気に育っている証。今から掘るのが楽しみです。
山田園で掘れる品種は、シルクスイートを中心に5種類。
シルクスイートは2012年に開発された割と新しい種類なのですが、その甘さと滑らかさから人気が急上昇したことで知られています。その品質の高さから、最近ではスイーツの材料にも使われている品種なんですよ。
山田園の体験料金
芋掘り体験をする際は、こちらの建物で受付をします。予約無しでもOKですが、シーズンになると団体のお客さんを中心に混みあうので、あらかじめ予約をしておくのがおすすめです。
ちなみに、予約する際はじゃらんからの予約がおすすめ。受付時間を指定しておけるので安心です。
体験料金は3株700円。リーズナブルな価格設定なので、気軽に体験できますね。
なお、芋掘り体験時は汚れてもいい格好で!
手袋や長靴などのレンタルはありませんので持参しましょう。
持ち帰り用のビニール袋は1枚3円です。自宅から大きめの袋を持ってくるのがおすすめです。
ちなみに、受付の建物では山田園で採れたサツマイモを販売していたり
地元の農家さんたちが作った野菜を販売していたりします。
それから、お帰りの際はぜひこちらのサツマスティックをお買い上げください。甘くてほくほくの味わいがたまらないので、帰りのお供に最適です!
正直これが100円でいいのか? と思うほどおいしいです。甘じょっぱ系で無限に食べられます。
川越はなぜサツマイモ作りが盛んなの?
さて、芋掘り体験をする前に、川越でサツマイモ作りが盛んな理由を紹介したいと思います。
今や川越の名物といえば、1言目に出てくるほど有名になった川越のサツマイモ。「川越イモ」の名で呼ばれるこのイモのルーツをたどると、江戸時代の1751年にまでさかのぼります。
1751年というと、儒学者や蘭学者として知られていた青木昆陽(あおきこんよう)氏がサツマイモの栽培方法を確立してから16年。現在の所沢市・南永井の地にて、名主の吉田弥右衛門(よしだやえもん)氏が栽培を始めたのが始まりです。
川越地方で栽培が定着してきた1700年代末になると、庶民のスイーツとして江戸で焼き芋が大ヒット! 新河岸川で江戸に物資を運んでいたことも味方して、川越地方ではサツマイモ栽培が盛んになっていきました。
(出典:川越市)
そのときに用いられたキャッチコピーが「栗(九里)より(四里)うまい十三里」だったのです。
この言葉の語源には諸説ありますが、川越は江戸から十三里の位置にあることと、サツマイモのおいしさを掛け合わせて作られたという説がよく知られています。
最盛期には50箇所以上もあったというサツマイモ農園。現在は、山田農園のある中台南や南大塚などで15の農園がサツマイモを育てています。
ちなみに、山田園のご主人・山田哲也さんの話によると、このあたりで最初にサツマイモを作り始めたのは今の新宿、ウェスタ川越のあたりなんだとか。昔はあちこちでサツマイモが栽培されていたんですね。
▼ さらに詳しい説明を読みたい方はこちらの記事もどうぞ!
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なぜ“川越=さつまいも”?栗よりうまい川越いもの歴史事情
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山田園で芋掘り体験に挑戦!丸々太ったお芋がたくさん!
川越イモの歴史を学んだところで、芋掘り体験に挑戦してみたいと思います!
この日は絶好の芋掘り日和!足取り軽く、サツマイモが待つ畑へ向かいます。
今回掘る場所はこちら。かわいいヒヨコちゃんの札が立っている所まで、6株を掘っていきます。
少しわかりにくいのですが、土が盛り上がっている部分にツルが出ている箇所があります。このツル1本につき、1株が植わっています。
では掘ってみましょう。
サツマイモ掘りは妻が担当します。本記事を書いているからすけはというと、すみません撮影を担当させてもらいますね。
ツル周辺の土をどけていくと、早速お芋の姿が見えてきました!
お芋~!会いたかったよ~!
さらに掘り進めていって……。
じゃーん! 丸々と太ったお芋が出てきました! これはおいしそうです!
シルクスイートは丸々とした形が特徴。色も鮮やかで目にも美しいですね。
次の苗はどうでしょうか……?
おおっ! ツルの周りにお芋がゴロゴロと付いています!一度にたくさん出てくるとテンション上がりますよね。
こちらも大ぶりなお芋がゴロゴロと。
掘るたびにこんなお芋が次々と出てくるので、掘るのが楽しくて仕方ありません。
本日一番の大物がこちら! これを焼いて食べたらおいしいでしょうねえ。
つい今から食べるときのことを考えてしまいます(笑)。
全部掘り終えるころにはお芋がこんなに。
ビニール袋の中にはお芋がどっさり。
う~ん、どうやって食べようかと、妻と2人で今から食べる相談です(笑)
大きいお芋がたくさん採れて、大満足の芋掘り体験でした。
サツマイモ・シルクスイートのおいしい食べ方
せっかくのサツマイモ、やっぱりおいしく食べたいですよね。そこで、今回芋ほり体験をした際に、山田園の山田さんから教えていただいた、シルクスイートのおいしい食べ方を紹介したいと思います。
まず前提条件として、「2週間以上寝かせてから食べる」のが鉄則です!
掘りたてを食べないの? と思われるかもしれませんが、これは「追熟」という大切な工程。しばらく置くことでデンプンが糖に変化し、甘みがグンと増すんです。
追熟をする際は、サツマイモを泥付きのままダンボールに入れて保存するのだとか。晩秋~冬の寒い時期は、1本ずつ新聞紙に包んであげるといいそうです。
シルクスイートのおいしい調理法
焼き芋や天ぷらなどの定番メニューはもちろんGOOD!どれもおいしくいただけます。
そして、ぜひ試してほしい食べ方が「素揚げ」です!
作り方はとっても簡単。芋を食べやすいサイズに切って油で揚げ、七味唐辛子で味付けをすれば……辛ウマなお酒のお供に早変わり!
ちなみに、塩で味付けをすれば子供のおやつにもおすすめ。サクサク&ほくほく食感が楽しい絶品レシピです。
掘ったサツマイモを食べてみた!追熟前後で食べ比べ
掘ったサツマイモを、ふかし芋にして食べてみました!
上でも触れましたが、山田さんの話によると、サツマイモは掘ってから一定期間寝かせる、「追熟」という工程が大切だそう。サツマイモに含まれるデンプンが糖に変化し、より甘くなるんだとか。
なお、追熟の期間は、2週間以上がおすすめだそうです。
そこで今回は、サツマイモを追熟前と後で食べ比べてみることにしました。
追熟前
まずこちらが、掘ってから5日後に蒸かしたもの。断面が鮮やかな黄色でとってもおいしそうですね!
味の方は、シルクスイートの特徴である、ねっとりとした食感が印象的。とても口当たりがよく、大きいサイズでもペロリと食べられてしまいました。
気になる甘さは、ほんのりと優しい甘さという感じ。凄く甘い!という感じではないですが、口全体に後を引く甘さが広がります。
追熟後
こちらが、掘ってから2週間半ほど追熟させたもの。果たして追熟前と味は違うのでしょうか?
「ぱくり」
こ、これは!!
一口目から明らかに甘みが違います!
食べた瞬間から甘さを強く感じるようになっており、ねっとりとした食感と相まって、まるでスイートポテトのような味に!
ただ蒸かしただけでこの甘さ、もはやこの芋自体がスイーツの域に達しています。
追熟おそるべし。そして、山田さんのサツマイモおそるべし……!
ちなみに、サツマイモの甘みは追熟期間が長ければ長いほど強くなるのだとか。上手に追熟させて、極上の甘みを目指してみるのもいいかもしれません。
山田園の川越イモは今も昔も笑顔の源!
今も昔も川越の代名詞としてあり続けるサツマイモ。山田園は、創業から180年以上にわたり、その味を伝え続けている芋ほり観光農園です。
そんな山田園で採れる川越イモの味は今も昔も絶品!江戸時代に庶民のスイーツとして皆を笑顔にした山田園の川越イモは、今もなお皆を笑顔にしてくれる存在です。
山田園の川越イモは、いわば皆の笑顔の源。今年の秋は、サツマイモを囲んで皆でほっこりしてみませんか?
山田園へのアクセス
- 車:関越自動車道「川越I.C」から約10分
- バス:JR・東武東上線「川越駅」西口もしくは西武新宿線「本川越駅」から西武バス「今福中台行」乗車、「今福中台」下車徒歩約2分