2017年2月4日、ウェスタ川越のリハーサル室で、川越市指定文化財「南田島の足踊り」の披露会が開催されました。
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"Minamitajima Foot Dancing" An Extremely Unique Traditional Form of Entertainment!
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南田島の足踊りとは
「南田島の足踊り」は、川越市の東南部に位置する地域、南田島に伝わる伝統芸能のひとつです。市指定無形民俗文化財に指定されています。
南田島
南田島の足踊りはこの地域特有のユニークな踊りで、普通は手で操るはずの人形を足先にセットし、軽快なお囃子(民俗芸能や歌舞伎などを引き立てるために演奏される、楽器主体の音楽)に合わせて躍らせるのが特長です。
現在は「南田島囃子連足踊り保存会」の会員15名(2017年2月4日現在)によって継承されており、基本的には南田島の住人しか練習に参加出来ません。
小学1年生(6~7歳)から練習を始めた場合、まずは3年生(8歳~9歳)まで小太鼓を担当するそうです。4年生(9歳~10歳)になった頃から大太鼓や笛などの練習を始め、身体がしっかりとしてくる5年生頃(10歳~11歳)から足踊りを教えてもらえる様になります。
「ちびっこ囃子連」を結成するなど、地域で大切に守られ続けている南田島の足踊りの技術。しかし一方で、部活動や受験、就職などで保存会を離れてしまう若者も多く、後継者が不足しているという問題を抱えています。
足踊りを横から見てみよう
演者は舞台に仰向けに寝て、首と腰の下に折りたたんだ座布団を当てます。
左足にオカメ、右足にヒョットコの人形を付け、人形の着物の袖に手を通して扇子や日傘を持てば準備完了。ちょうど人形の首の部分に足首がくるため、足首を上手く動かすことで、よりリアルな踊りに見せることが出来ます。
足踊りの歴史
明治初期に森田森之助が人形浄瑠璃(日本の古典芸能のひとつ。現代では「文楽」と呼ばれ、国の保護を受けています)をヒントに、足人形に面を付けるようになったのが始まりと言われています。
最初の頃は、藁に棒を差し込んで、手ぬぐいを被せただけという簡素なものだったそうです。その後、萩原泰治・森田元次郎らが継承し、人形や衣装などの改良を重ねて、今日の形になったといわれています。
「南田町の足踊り」披露会の様子
開演20分前の様子。既に満席で、立ち見客が出ていました。年齢層はかなり高め。ちょっと場違いだったかな、と感じました…。
司会の方による前説。
「南田島の足踊り、どんなものなのか知っている方は手を挙げてください」との質問に、会場内の半数のお客さんが挙手しました。どうやら認知度は50%程度だったようです。
開演時間になり、演者さんたちが定位置につきました。左から2番目の男性が足踊りを披露します。
まずは南田島囃子連足踊り保存会の会長による、獅子舞が舞い踊ります。
舞の途中で、獅子舞の中からヒョットコが登場。
ヒョットコが踊っていると、舞台の真ん中からオカメさんの足人形がニョキッと出てきました。
まるで人形が生きているかのようでした。足と手だけで演じているとは、とても思えません。
ヒョットコの足人形も登場。人形の数が増えましたが、どちらも1人の男性が操っています。
会長さんが台を取り払って、踊りの様子を見せてくれました。
正面からの写真なので分かりにくいですが、この人形の中に、下の男性の手足が入っています。曲が流れている間は常にこの体勢をキープし続けなければならないため、演者はかなりの体力を消耗するそうです。
演者さんたちによる解説
演技が一段落すると、会長さんが足踊りについて詳しく解説してくれました。
打楽器の譜面
これがBGMのお囃子の譜面。
音階を示す記号は一切ありません。全て擬音語だけで表現されています。演奏者はこの擬音語の歌を何度も唄いながら曲を覚えるそうです。
実際に演奏もしてくださいました。
かねの演奏。譜面は「カンカン チキチ カン チキチ」です。
お次は、大太鼓と小太鼓の演奏です。
譜面は、
小太鼓(右2つ)「スッテケ天 ァ テケ 助天ツクツ」
大太鼓(左)「スッテケ天 ァ テケ 助天 ツクツ」。
足踊り
見るからに腰と足、腕を酷使しそうな体勢です。
演者が腕を通す穴。この穴に腕を差し込んで、人形の手を操っています。
観客による足踊り体験タイム
足踊りの体験コーナーです。普段は経験出来ない南田島の足踊りを、素人さんが実際に演じてみます。
人形を装着する時点で大苦戦。演者さんたちは慣れた手つきで素早くセッティングしていましたが、素人にはかなり難しい作業だったようです。
足を持ち上げて人形を立てます。が、ベストな角度が分からず、ここでも苦戦。
人形の手に傘を持たせて準備完了・・・なのですが、ここでも皆さん苦労していました。全員の準備が終わるまでに5分ほどかかったでしょうか。
素人による足踊り。これを見ると、プロの演技がどれだけレベルの高いものなのかがよく分かりますね・・・。
今度は女性3人組が挑戦。腕力の問題なのか、傘の位置を上に保つのが難しい様子でした。
その後も色々な方が足踊りに挑戦。
中には打物に挑戦する方もいらっしゃいました。
体験後はプロの演技で幕引き。
足踊りの大変さがよく分かったためか、会の最初と最後では観客の見る目が変わっていました。
南田島の足踊りを見に行こう!
南田島の足踊りは、南田島氷川神社で開催される4月14日の春祈祷や、7月14日の天王様、10月14日のオヒマチといった祭事でじっくりと観覧出来ます。
入場料等は無料です。ただし、道幅が狭くて段差もあるため、車椅子やベビーカーでの入場は少しだけ大変かもしれません。
会場:氷川神社(南田島)
縁結びで有名な氷川神社とは別の神社なので要注意!
JR川越線「南古谷駅」から徒歩19分。
東武東上線「新河岸駅」から徒歩22分。
駐車場はありません。
その他、毎年10月に開催される川越氷川祭(川越まつり)でも披露されることがあります。